失敗しない老人ホームの選び方~食事は唯一の楽しみ~

老人ホームの食事の提供の仕方

老人ホームを探している方からよく聞くのが、「介護施設での唯一の楽しみが食事!!!」「食事の美味しいホームを探して欲しい!!!」という要望。

要介護状態になると外出もままならないし、大半がお部屋の中で過ごすことになるので食事時間を心待ちにしている入居者の方は多いのが事実です。

でもホームではリスク管理の立場から「刺身は出さない」「餅も出さない」「麺類を出さない」のないないずくしのホームも多いのが事実。
「お願いだからまともな食事を出して欲しい」と真剣に懇願されることも多々あります。

職員の本音は「ほおっておけばいずれは慣れてくれる、諦めてくれる。」「仕方がない・・・・・。」。

でも最近は調理技術の向上から有料老人ホームの食事は随分改善されてきているのも事実です。

有料老人ホームの食事の提供の仕方として、
・ホームで食材を仕入れ自家調理(超高級老人ホームもしくは定員20人未満程度のホーム)
・給食会社に委託(大部分のホーム)
・クックチル(半製品の食材)を仕入れ、ホーム内で盛り付けを実施(ホーム職員で行う場合と給食会社に委託する場合あり)
の3つの方法があります。

どの方式が優れているかは、評価する角度によって違ってくるので断定は出来ません。

高級料亭「なだ万」の元料理長がシェフのホームも

私がかつて運営していたホームで元大手企業の役員の方が入居されていました。
その方から食事について随分クレームを受け改善に取り組みました。

「自分はよく高級料亭のなだ万で食事をしてきた。なだ万で出されるものなら毎日でも食べられる。君も一度食べてこい!!」とよく言われたものです。

そんなホームがあるのか?
探してみたらあったのです。どことは言えませんが、元なだ万の板長を雇用している超高級有料老人ホームが!!!。
早速、伝手を頼って偵察に行き、試食をしました。
本当に美味しかったです。

でもそんなことが出来るのは、入居一時金が億単位の超高級ホームだけ。
一般のホームでは高嶺の花です。

では食事の良いホームをどうやって探せば良いのか?
そんな方法はありません。
味付けに関しては入居者の好みがあります。
人それぞれ永年の家庭生活で培われた味に対する好みがあるので、入居者全員に好みに合わせるのは難しいのが事実。

よく、「家庭料理は飽きないのに、どうしてホームの食事には飽きるのか?」という質問を受けます。
家庭料理が飽きないのは家族の嗜好が似通っているから。お母さんの味、奥様の味に慣れ、永年の食生活を通じて好みの味付けというものが出来てくるからではないでしょうか?

では、何か良い食事を提供するホームの見分け方はないのか?
一つのヒントをご紹介します。

会社の方針の変更で「美味しい食事を提供するホーム」から「食事のまずいホーム」へ転落

ある大手ホームの話です。

その会社は自身で給食会社を持ち、セントラルキッチンで会社全体の食事をつくり、クックチル方式で各ホームへ配送していました。ですからその会社では、どのホームでも同じ食事が提供されています。
工場から配送された半製品を各ホームの職員が盛り付けをし提供していました。

そのホームは食事に対する評判が比較的高かったので、その給食会社にノウハウを教えてもらいに行ったものです。
色々な工夫を教えていただき、その会社からの仕入れも考えたものです。

そのホームの食事に対する評判がある時を境に急降下し、「食事のまずいホーム」と言われるようになってしまいました。
以前訪れた給食会社の方にお伺いしても、「やり方を変えたわけでも、仕入れをかえたわけでも、味付けを変えたわけでもない。我々も悩んでいる。」ということでした。

その後、色々調べているうちにわかったのですが、その会社のあるホームで事故(食事には関係のない)が起き、経営サイドの号令の元、リスク管理を徹底したそう。
食事に関しても、以前は施設職員の裁量で味付けの工夫を自由に行っていたのですが、会社の方針で一切自由に味付けが出来なくなり、送られてきたものをそのまま盛り付けしてお出しするという方針が徹底されたよう。
評判が良かった時は、「同じメニューなのにホーム毎、ユニット毎によって味が違う」と言われ評判が良かったのに、その特長を「リスク管理」の名目でなくしてしまったのが原因だということがわかりました。

この例からもわかるように、老人ホームの食事に関しては、如何に調理段階においてホーム毎、職員毎に裁量を持たせているか、自由にやらせているかが鍵を握るのではないかということを学びました。

介護職員は優しい方が多く、何ごとに関しても入居者ファーストで動く”草食系”の職員が多いです。
調理を担当する職員も同じです。彼らは日々入居者の方と寝食を共にし、各入居者の嗜好を把握しています。
その職員をいかに信用し、ある程度自由にさせているか。

ホーム見学の際はそういう視点で質問してみるのも良いかもしれませんね。

この記事のライターをご紹介

佐久間信二 (さくましんじ)

介護事業研究所所長

昭和63年関西学院大学卒業
某大手企業の介護事業子会社の設立・運営に携わり、経営者として売上高20億円企業にまで成長させる
現在、個人で介護事業研究所を設立。個人の皆様に介護事業所の運営・経営に関し情報発信を実施。

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