高齢者の疾患⑤「急増する認知症患者 受診医療機関の選び方」

急増する認知症患者 その対策は?

最近、認知症新薬の治験中止のニュースが相次いでいる中、12月6日の日経新聞に、「米バイオジェンとエーザイが開発するアルツハイマー病治療薬「アデュカヌマブ」の臨床試験データが明らかになり、認知機能の低下を2割ほど遅らせる効果を示し、学会や株式市場から大きな注目を集めた。」という記事が掲載されていました。
2021年にも認知症の進行を遅らせる世界初の治療薬が誕生する可能性が出てきたが、実用化までのハードルは高いと記事は締めくくっていました。

認知症に関しては、久々に明るいニュースですが、この記事が注目を集める大きな原因が将来の認知症患者の急増。
「日本における認知症の高齢者人口将来推計に関する研究」(2014年厚生労働科学研究費補助金特別研究事業)では各年齢層の認知症有病率が2012年以降も一定と仮定すると、2025年の認知症の有病者数は675万人、認知症有病率が上昇すると仮定すると730万人。
実に5人に1人が認知症有病者になると言われています。

広がる認知症マーケット

現在の認知症マーケットの主な分野として挙げられるのは次の4つ。
①スクリーニング検査
ミニメンタルステート検査(MMSE)と言った、読字や描画、計算の設問に解答し、点数化して認知症の疑いを判定する検査や、最近では認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクを測る血液検査の「MCIスクリーニング検査」等が登場しています。
このMCIスクリーニング検査は全国2300箇所の医療機関で受けることができ、費用は2万円程度。50歳を超えて以降、健康診断と一緒に受けることをお勧めします。
また遺伝的な面からリスクを判定する「APOE遺伝子検査」等も普及しつつあるようです。

②予防トレーニング
色々な事業者から沢山の製品が発売されています。有料老人ホームやデイサービス等では、通信カラオケにセットされたものが利用されています。
バリアフリー展なんかに行きますと各カラオケメーカーが競って出展しています。各生命保険会社も認知症保険に契約すると、スマホアプリで使える様々なサービスを開発し提供されています。
各地域の地域包括支援センターや社会福祉協議会でも盛んに認知症予防トレーニングを行っておられますので、皆さん、市の広報誌やホームページ等で情報を入手し参加されては如何でしょうか。

③見守りセンサー
これは特別養護老人ホームや有料老人ホーム向けに、認知症による徘徊や転倒などの事故を防ぐために、各メーカーが開発しているものです。
介護業界は人材不足なので人員増による事故防止は難しいのが現状。新たな製品を導入し、事故の減少と職員の負担軽減を実現しているケースも多数出てきています。

④認知症関連保険
生命保険会社や損害保険会社の認知症関連保険の開発も盛んになっています。太陽生命は損保ジャパンひまわり生命等が新たな商品を発表されています。

認知症の受診医療機関の選び方

皆さんの中でも高齢期を迎えるにあたり一番気にされているのは認知症でしょう。
「癌」という方もいらっしゃるかもしれませんが、最近の医療技術の進歩は目覚ましいものがあり、癌は治療すれば治る確率が高くなっています。

それに比べて認知症は”治らない”という認識が一般的であり、家族に迷惑をかける、認知症になると介護施設に入れないのでは?という不安を持っておられる方が多数です。

そういう方のためにお勧めしたいが早期発見。前述したMCIスクリーニング検査等を受診され、早期発見に努めることが肝要です。
MCIスクリーニング検査を開発したMCBI社のホームページでは検査実施医療機関が検索できます。一度、お近くの医療機関を検索されては如何でしょうか。

では認知症かも?と思った場合にどこに受診すれば良いのか。
「もの忘れ外来」や「精神科」を標榜する病院、医院は多数あります。
かかりつけの内科でも診てくれますが、やはり専門医にかかることをお勧めします。

専門医の中でもどのような医療機関に行けば良いのか。私の経験では、「医師・看護師以外に多職種で患者・家族をケアしてくれる医療機関」をお勧めします。
なぜなら、一般のご家庭で「認知症かも?」と思って受診に行かれるのは、大抵が興奮や徘徊などを呈する中等度の患者さんが多いからです。
そういう患者さんのご家族は大きな不安抱えておられるもの。そういった場合に助けになるのが臨床心理士。臨床心理士が認知機能検査を行ったり、家族と面談して患者との生活での悩みなどを聞き取って心理的なケアをしてくれます。
ご家族は認知症に戸惑い頑張ってケアしようとして介護疲れに陥りやすいもの。治療以外に家族のことまで考えてくれる医療機関がお勧めです。

その他に認知症ケア専門士の資格を取得した看護師を配置しているところも良いと思われます。
この資格を持っている看護師さんは、専門知識もあり、患者やご家族に対する対応もしっかりしています。

また、自治体が実施しているセミナー等で積極的に講演している医師もお勧めです。
皆さんも地域包括支援センター等のホームページでそう言った医師の講演会を探し、積極的に参加されることをお勧めします。

「お医者さんは万能だからかかりつけ医になんでも相談」と思っている方も多いと思います。
でもやはり一番重要なのは「専門医」への受診です。
認知症かなっ?と思ったら、専門医への早めの受診をお勧めします。

皆さんも「臨床心理士のいる認知症専門クリニック 〇〇市」等で検索してみて下さい。そこそこの数の認知症専門クリニックが検索されますよ。

この記事のライターをご紹介

佐久間信二 (さくましんじ)

介護事業研究所所長

昭和63年関西学院大学卒業
某大手企業の介護事業子会社の設立・運営に携わり、経営者として売上高20億円企業にまで成長させる
現在、個人で介護事業研究所を設立。個人の皆様に介護事業所の運営・経営に関し情報発信を実施。

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