介護職員等特定処遇改善加算の算定状況

独立行政法人福祉医療機構のアンケート調査より

2019年10月より、「経験・技能のある介護職員」に重点を置きながら、介護職員のさらなる処遇改善を進めるため「介護職員等特定処遇加算(以下「特定加算)と表記)」の運用が始まりました。
独立行政法人福祉医療機構で特定加算への対応状況調査のため2019.8~9にかけて融資法人を対象にアンケート調査を実施され、その速報結果が日経ヘルスケアに掲載されていました。

調査対象は医療法人、社会福祉法人を中心に1016法人。
サンプルの多い順に通所介護、特別養護老人ホーム、訪問介護、認知症対応型グループホーム、地域密着型特養となっています(その他に訪問入浴、認知症対応型通所介護、特定施設、定期巡回、小規模多機能、老健、介護療養型医療施設、介護医療院が含まれています)。

4分の3が10月より開始

算定開始時期は、「2019.10から」と回答した事業者の割合が全体の76.5%、「遅くとも2020年度初めには」と回答した事業者の割合と合わせて85.9%を占めたよう。
「特定加算の算定予定なし」の回答の割合は7.2%でしたが、多くは介護保険事業以外の事業を中心に運営している医療法人だそうです。
介護保険事業の算定をしている事業所のほとんどは特定加算の算定に向けて動いているようです。

算定する加算区分は、「事業所によって異なる」という回答の割合が46.0%、「特定加算Ⅰのみ」が44.1%、「特定加算Ⅱのみ」が9.9%。

加算による処遇改善収入を
a.経験・技能のある職員(以下aグループ)
b.他の介護職員(以下bグループ)
c.その他の職員(以下cグループ)

に分けて配分することが認められているが、aグループの平均賃金がbグループの2倍以上となることなどの要件(いわゆるa:b:cが2以上:1:0.5以下)を満たせば、職員への配分額をはじめとして、各法人にかなりの裁量が認められている点が今回の加算の大きな特徴ですが、設定したグループの組み合わせは、「a.b.c全て」が73.4%、「a.bのみ」が19.4%と、介護職員全てか、その他の職員にも配分したが、ほぼ9割以上となったようです。

勤続年数要件は8割が設定

aグループを設定した法人のうち、42.7%が「各事業所に月8万円以上の賃金改善または改善後賃金が年額440万円以上となるものを必ず1名以上設定」と回答。
また15.1%が「一人もいない」と回答していますが、その理由としては「既に440万円以上のものがいる」が34.9%、「小規模事業所等により加算全体が少額であった」ということが31.3%と回答だったそうです。

aグループに該当する職員に「勤続年数の要件を設ける」とした法人が全体の8割弱。うち8割超は国が目安として示した「10年」を要件としていた模様です。

a、b、cの3グループを設定した73.4%の法人のうち、平均改善額の配分比率を尋ねたところ、7割弱が国の示す算定要件に準拠した「2:1:0.5」と回答した模様。やはり国の示した目安どおりに配分をしたところが多いようです。

2万円、1万円、5千円が平均

勤務する介護職員の平均人数はaグループで24.2人、bグループで57.2人、合計81.4人。

aグループの介護職員1人1ヶ月当たりの平均改善額は21,880円であったようです。
aグループの介護職員のうち、月8万円以上の賃金改善または改善後賃金が440万円いじようとなる者の数は8.9人。結果、対象施設に勤務する介護職員の約1割が国の目指す他産業並みの賃金水準となったようだと考えられるようです。
当該調査結果によると、特定加算で実際に月8万円以上改善が実施された介護職員の数は1法人平均0.8人とごくわずか。多くの法人が年収440万円に少し届かない職員の改善額を調整し、算定要件を満たしようです。

bグループに該当する介護職員数の1人当たり1ヶ月の改善額は9,360円。
cグループに該当する職員数は1法人あたり40.7人で、うち賃上げ対象者は2/3に当たる27.1人、1ヶ月当たりの改善額は4,568円となったようです。

aグループの改善月額の最大値を2万円台とした法人が28.1%と最も多く、最少額は1万円台の32.9%q@Zq9うです。

2020年からは見える化要件の適用が始まり条件面での比較が容易になる

多くの法人が2020年度からは特定加算を本格的に算定する意向を示していることに加え、2020年度からは「見える化要件」の適用が始まります。

今後は、特定加算を算定する法人としない法人との間に、待遇面で大きく差が出ることが想定され、見える化により他の事業所との条件面での比較が容易になることが見込まれるため、求職者や所属する職員に与える影響も大きくなることが想定されます。

介護職員同士のネットワークは広く、情報交換も盛ん。
「自分が何故aグループにはいらなかったのか?」等の質問も実際にあるよう。

事業所により違う、加算要件の設定基準や運営理念・意図等をしっかり職員に説明し、納得して働いていだくことが肝要のようです。
今後、採用において求める人材のアピールへの強力な武器にもなる特定加算。事業所内でしっかり基準を定め、幹部職員間で共有しておくことが大切ですね。

この記事のライターをご紹介

佐久間信二 (さくましんじ)

介護事業研究所所長

昭和63年関西学院大学卒業
某大手企業の介護事業子会社の設立・運営に携わり、経営者として売上高20億円企業にまで成長させる
現在、個人で介護事業研究所を設立。個人の皆様に介護事業所の運営・経営に関し情報発信を実施。

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