「住宅取得等資金の贈与」を非課税にする方法―かえって損をする場合もあるので要注意!

住宅を新たに取得するための資金援助として子や孫が金銭の贈与を受ける場合には、
一定の非課税枠内で贈与税が非課税となります。
この制度については以前も少しご紹介しましたが、実は使わない方が税金対策として有効になる場合や他の制度との併用が可能な場合もありますので、今回はもう少し掘り下げてご紹介したいと思います。

住宅取得等資金の非課税制度表

この非課税制度は、父母や祖父母が住宅取得資金などを子又は孫に贈与する場合に適用でき、年齢制限はありませんが、対象となる住宅が240㎡以下などの要件があります。
この制度は「相続時精算課税制度」※との併用が可能で、最大5,500万円まで贈与税が非課税となります。非課税限度額は上記の一覧表のとおりです。

→非課税枠3,000万円、2,500万円、1,200万円、700万円のうちいずれか
+ 基礎控除額110万円または相続時精算課税2,500万円

※相続時精算課税制度は、60歳以上の父母(又は祖父母)から20歳以上の子、又は孫への贈与を行った場合、最大2,500万円まで贈与税が課税されないという制度です。
ただし相続時精算課税によって贈与された贈与財産は相続発生時に相続財産と合わせて相続税の課税対象となり、また暦年110万円の基礎控除が適用できなくなるので注意が必要です。

申請上の注意点

・贈与金額が非課税枠内であっても確定申告が必要
・小規模宅地等の評価減の特例※が使用できない場合あり


「小規模宅地等の評価減の特例」は被相続人に配偶者や同居親族がいなかった場合には、別居親族に相続することでこの特例を適用することもできますが、その場合、別居親族は「3年以上持ち家がない」という要件を満たしている必要があります。
すでに住宅取得等資金贈与の特例を利用して持ち家を取得している場合には当然別居親族が小規模宅地等の特例を適用することができないことになります。


※小規模宅地等の評価減の特例とは、被相続人の居住用宅地を同居親族等が相続した場合、評価額を8割減にすることができるという節税インパクトの大きい特例です。


(事例)
・父から息子への贈与1000万円
・母やその他親族なし
・父財産:土地6000万(330㎡)・金銭2000万円
①    息子が贈与税の非課税枠を使用して住宅を購入する場合
贈与税額0円
相続税額(6000万円+1000万円-基礎控除3600万円)×30%-700万円=320万円
②    息子が住宅を購入せず小規模宅地等の特例を使用した場合
 贈与税額(1000万円-110万円)×30%-90万円=177万円
 相続税額 土地評価減により財産額が基礎控除額以下となるため0円

上記の事例では贈与税を支払った方が全体的な納付額は下がることになります。

金銭を贈与する際、多くの場合住宅取得等資金の非課税制度はとても有効な節税対策といえます。
しかし中長期的な相続対策も視野に入れたとき、ご家庭の事情により必ずしもお得とはいえない場合もありますので、必ず税理士に確認してからアクションを起こすことをお勧めします。

この記事のライターをご紹介

磯貝 慎一郎 (イソガイシンイチロウ)

税理士

平成14年3月に開業。
スピーディーなアドバイスとサービスをご提供します。
開業支援 金融機関対策 相続税対策 税務調査対策を得意としています。

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