シニアのためのメディカルコラム:高血圧シリーズ4「カルシウムが血圧に影響を与えることをご存知ですか?」

「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。前回に引き続き、高血圧の治療薬についてのお話です。

カルシウム拮抗薬

これも代表的な降圧薬になります。
カルシウムと聞くと、骨を丈夫にするミネラルというイメージだと思います。
実はカルシウムは、血管の収縮などに影響をしています。
なので、カルシウムが血管に作用した状態では血圧が上がり、カルシウムの作用が弱まると血圧が下がるという特徴を持っています。
 
カルシウム拮抗薬はこのカルシウムの効果を弱めることで、血管の収縮が弱まり、血圧が下げる効果があります。
ちなみに、薬が作用する場所が血管であって、骨ではないので骨がもろくなるのでは・・・という心配はしなくて大丈夫です。
もっと正確にいうと、カルシウム拮抗薬は血管の細胞の中にカルシウムが入る入り口が開くのを邪魔する作用なのです。
なので、血液の中にカルシウムが多くても、カルシウム拮抗薬の作用には関係ありません。
高血圧と言われてカルシウム拮抗薬を飲むなら、カルシウムを控えなきゃなんてやってると、それこそ骨粗鬆症が心配になります。
むしろカルシウム拮抗薬を飲みながら、骨粗鬆症もある方はカルシウムも飲んでいたりします。
こういった医学知識の活用は、かなり専門知識が必要なので、中途半端に知ることで不安になったり、あまり体にオススメでない対応をしてしまうような誤解が生じてしまうので難しいですね。

特殊な例外

カルシウム拮抗薬の有名な注意点として、グレープフルーツと一緒に飲むと降圧効果が強くなり、血圧が下がりすぎるということが知られています。
この理由は複雑なのですが、薬が吸収されるときに、ある程度体で消化され効果が弱まることが知られています。
この薬の消化を正確にいうと、代謝(たいしゃ)と言います。
 
薬を作る人はこのこともよく知ってて、効果が弱まることも織り込み済みで作っています。ただ、グレープフルーツの成分により、この消化をする機能が弱まり、予定よりも多くのカルシウム拮抗薬が作用してしまうのです。
そうして、血圧が下がり過ぎるというカラクリになっています。
カルシウム拮抗薬を飲んでいる方は一生、グレープフルーツジュースを飲んではダメなのではなく、カルシウム拮抗薬を内服して吸収するまでは避けるという意味合いです。
なので、一緒に飲むのはもちろん、飲んで吸う時間くらいは避けるという指導をされていると思います。

降圧薬のまとめ

前回と合わせて4種類の降圧薬を解説してきました。他にも血圧の薬はあるんですが、まずはこの4種類を飲んでいる方が多いかなと思います。
今飲んでいる降圧薬がある方は、インターネットで薬の名前を調べてみましょう。おそらく、この4種類のどれかに該当すると思います。

もし該当しなかったら、「それはそれで別の種類なんだなぁ」と思って、どんな薬か調べてみてください。
この4種類の作用を基盤として、関連した薬の可能性が高いと思います。
高血圧の薬物療法は、これらの薬を組み合わせながら、適切な血圧になるように調整していくものです。
なので、降圧薬は何種類もの薬を飲むため、内服の負担が生じやすい薬になります。
これらを克服するために、最近では合剤(ごうざい)といって、違う種類の降圧薬を組み合わせて一つの薬にするといったものも増えてきました。
ぜひかかりつけの先生や薬剤師の先生に、自分の降圧薬の内容を聞いてみてください。

まとめ

高血圧シリーズの第4回目は、第3回に引き続き高血圧の治療薬についてお話しました。
次回はついに高血圧の最終回です。高血圧の予防、さらには治療のために重要な生活習慣についてです。

この記事のライターをご紹介

柏木 秀行 (カシワギ ヒデユキ)

医師・社会福祉士・経営学修士

1981年広島県呉市に生まれる。筑波大学医学専門学群を卒業後、福岡の飯塚病院に初期研修医として就職。救急、感染症、集中治療などを中心に研修を行った。地域医療を支える小規模病院に出向した際、医療経営と地域のヘルスケアシステムづくりをできる人材になりたいと感じ、グロービス経営大学院で経営学修士を取得。また、社会保障制度のあるべき姿の観点を、研修医教育に取り入れたいと感じ社会福祉士を取得し育成に取り組む。現在は飯塚病院緩和ケア科部長として部門の運営と教育を行いながら、診療所の経営コンサルトをオフタイムに兼任。緩和医療専門医、総合内科専門医、プライマリ・ケア認定医・指導医。

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