シニアのためのメディカル・コラム: 病気としての「骨粗鬆症」について 3話「食事について」

骨がもろくなる!? 骨粗鬆症4(最終回)

「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。今回は骨粗鬆症の治療をテーマに、薬以外の治療として食事と運動について扱います。

骨粗鬆症の予防、治療に重要な食事

骨粗鬆症の予防と治療に効果のある食事として、何に気をつければ良いのでしょうか?
このように尋ねると、まず頭に思い浮かぶのは、「カルシウム」ではないでしょうか?
 
前回までも紹介してきた、骨粗鬆症のガイドラインでもカルシウムの摂取は推奨されています。
カルシウムは成人男性では体内に1,000g程度存在するとされ、その内の99%が骨に存在しています。
カルシウムの摂取をすることは、骨粗鬆症の予防や治療に有効ですが、食事から体内に吸収できるカルシウムの量は限界があるため、カルシウムの多く含まれる食事を取れば取るほど骨が丈夫になるという話ではありません。

どの程度カルシウムを摂取すれば良いのか?

厚生労働省より健康な人を対象として、「日本人の食事摂取基準2015年版」がカルシウムの摂取推奨量を発表しています。
カルシウムの摂取推奨量は年齢と性別で異なります。
この記事を読んでおられる方の多くが該当するであろう、50歳以上では、
男性 50歳以上 700mg(1日あたり)
女性 50歳以上 650mg(1日あたり)
とされています。
 
もちろん、育ち盛りの子供などは、もっと多くのカルシウム摂取が必要です。
注意点として、これらのカルシウム摂取量は、骨が正常な方を対象として計算されていますので、人によってはもっと多くのカルシウムの摂取が必要かもしれません。
最近は中高生のような成長期や、20歳代の女性の方が、スタイルを気にしてかなり厳しいダイエットに取り組む方がおられます。
こういった方は、十分な強度の骨ができず、より骨粗鬆症になりやすいと言われています。
お子さんやお孫さんに、過度なダイエットに励んでいる方がいらっしゃったら、少し骨の健康についてのお話をしてあげてください。

具体的な食事の工夫

必要なカルシウムを摂取するためには、何をどのくらい食べたら良いのでしょうか?
こちらは公益財団法人骨粗鬆症財団が作成している、「カルシウムを多く含む食品」という保健指導のパンフレットが絵も多くわかりやすいかと思います。
インターネットでダウンロードできるので、参考にしてみてください。


食品の中では、魚介類、大豆製品、牛乳を含む乳製品、そして野菜・海藻・種実類がカルシウムを多く含む食材となります。
魚介類や乳製品はイメージ通りですが、納豆などの大豆製品もカルシウムが多いというのは、私にとっては意外でした。
皆さんはこの中で無理なく摂取できる食材はありそうですか?
 
もちろん、カルシウムの含有量は目安ですし、食べる量によっても異なりますので、自身の食生活を振り返るきっかけにしてもらえたらと思います。
合わせて、ビタミンDやビタミンKの摂取も推奨されています。

運動について

食事の話が続きましたが、もちろん運動も大切です。
「フレイル」という言葉を聞いたことがありますか?
年齢とともに体が徐々に弱っている状態を言います。
 
 
骨を丈夫に保つ上で、適度な運動も大切です。
先に述べたガイドラインでは、運動は骨密度の低下を防ぐだけでなく、転倒予防の観点からも重要としています。
ただし、無理な運動で怪我をしたり、体に負担がかかるのも良くないので、どの程度の運動がご自身に適切かは、かかりつけの先生と相談しながら取り組みましょう。 

まとめ

今回は骨粗鬆症の治療について述べてきました。
今回で骨粗鬆症については終了です。
次回からは新たに、高血圧のシリーズがスタートします。
次回もよろしくお願いします。

この記事のライターをご紹介

柏木 秀行 (カシワギ ヒデユキ)

医師・社会福祉士・経営学修士

1981年広島県呉市に生まれる。筑波大学医学専門学群を卒業後、福岡の飯塚病院に初期研修医として就職。救急、感染症、集中治療などを中心に研修を行った。地域医療を支える小規模病院に出向した際、医療経営と地域のヘルスケアシステムづくりをできる人材になりたいと感じ、グロービス経営大学院で経営学修士を取得。また、社会保障制度のあるべき姿の観点を、研修医教育に取り入れたいと感じ社会福祉士を取得し育成に取り組む。現在は飯塚病院緩和ケア科部長として部門の運営と教育を行いながら、診療所の経営コンサルトをオフタイムに兼任。緩和医療専門医、総合内科専門医、プライマリ・ケア認定医・指導医。

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