シニアのためのメディカル・コラム: 病気としての「骨粗鬆症」について 1話

骨がもろくなる!? 骨粗鬆症1

「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。
今回からしばらく、骨粗鬆症についてお話ししていきます。
健康寿命をのばし、快適なシニアライフを送るために重要な疾患ですので、ぜひお付き合いください。
私自身は骨粗鬆症の専門家ではありませんが、高齢者を多く診療している医師として、日本の診療ガイドラインに基づいた内容を記載していきたいと思います。

年をとると骨がもろくなる

年をとると骨がもろくなるということは、今や多くの方がご存知かと思います。
医療機関を受診した際に、骨密度とよばれる骨の丈夫さや脆さの検査を受けたことが有る方もいらっしゃると思います。
でも、骨粗鬆症について、正しく理解する機会はなかなかないですよね?
 
世界保健機関(WHO)では、「骨粗鬆症は、低骨量と骨組織の微細構造の以上を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である」と定義しています。
要するに、骨がもろくなり、骨折しやすくなるという定義なのです。
そんなの、素人の私でも知ってるよって思ったかもしれません。
ただ、せっかく医師である私と一緒に読み解いているので、もう一歩踏み込みましょう。

冒頭で、「年をとると骨が脆くなる」なんて、皆さんご存知ですよね?と話しました。
年を取ることによる変化を、難しい医学用語で生理的変化(せいりてきへんか)といいます。
加齢とともに万人に生じる変化は、一般的には病気とみなしませんよね?
「20代の頃から比べて、シワが増えているが、これって病気じゃないの?」という80代の方はいない状況と比較いただけると幸いです。

骨粗鬆症に話を戻します。
世界保健機構は、骨粗鬆症は疾患であるとしています。
つまり病気と位置づけているのです。
骨が誰でももろくなるという生理的変化は事実なのですが、その程度がつよいと骨が生理的変化をこえて脆くなり、骨折の原因となります。
これは「誰もが年令とともに経験する仕方ないこと」ではなく、「何らかの対応が必要な病気」と位置づけているのですね。

骨粗鬆症の患者数

我が国にどの程度の骨粗鬆症患者がいるのでしょうか?
 
これは推定の方法や、報告によってばらつきがあります。
日本の骨粗鬆症ガイドライン(骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版)では、1,280万人(男性300万人、女性980万人)と推計結果を報告しています。
これ、すごいですよね。
 
10人に1人は骨粗鬆症になっています。
平均寿命が長く、高齢者の多い日本を物語っているかのような患者数です。

骨粗鬆症の影響

骨粗鬆症がもたらす影響で、一番有名で重要なものは、なんといっても骨折です。
骨折というのはご存知の通り、骨が折れてしまうことです。
人の体には200個以上あるのですが、どの骨がどのように折れるかによって、生活への影響が大きく変わります。


骨粗鬆症で多く折れる骨を3箇所挙げると、
・足の付根(大腿骨頚部骨折)
・背骨(椎体骨折)
・腕の骨(橈骨遠位端骨折、上腕骨骨折)

です。
 
骨折すると非常に強い痛みに襲われますが、その後の手術を含めた治療や、歩けないといった身体機能の変化もふくめて、生活を大きく変えてしまいます。
特に高齢の患者さんの身体機能の変化は、介護と住まいの問題と密接に関わっています。
予定外のタイミングで介護や施設への入所などが必要となった場合、家族への影響も大きいです。

まとめ

以上、骨粗鬆症の概略について述べてきました。
次回は骨粗鬆症の診断について、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

この記事のライターをご紹介

柏木 秀行 (カシワギ ヒデユキ)

医師・社会福祉士・経営学修士

1981年広島県呉市に生まれる。筑波大学医学専門学群を卒業後、福岡の飯塚病院に初期研修医として就職。救急、感染症、集中治療などを中心に研修を行った。地域医療を支える小規模病院に出向した際、医療経営と地域のヘルスケアシステムづくりをできる人材になりたいと感じ、グロービス経営大学院で経営学修士を取得。また、社会保障制度のあるべき姿の観点を、研修医教育に取り入れたいと感じ社会福祉士を取得し育成に取り組む。現在は飯塚病院緩和ケア科部長として部門の運営と教育を行いながら、診療所の経営コンサルトをオフタイムに兼任。緩和医療専門医、総合内科専門医、プライマリ・ケア認定医・指導医。

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