医師国家試験はこんな感じ

医師国家試験はこんな感じ

「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。
ご存知の通り、医師は国家資格です。
なので、皆様が病院でお医者さんに診てもらう時、そのお医者さんは医師国家試験に合格しています。
医師国家試験ってどんな試験か調べたことのある方はいないですよね?
題して、「医師国家試験ってどんな試験?」です。

医師国家試験の概要

国家資格ですので、その詳細については厚生労働省のホームページから誰でも確認することができます。
この原稿を執筆時点で最も直近の試験は、第113回で平成31年2月9日-10日の2日間で開催されました。
この試験日程は全国共通で、12都道府県で開催される試験は同日に行われます。

受験者の大半は日本の大学医学部で、所定の課程を修了した者となります。
なので、高校を卒業し、どこかのタイミングで医学部に入学してから、6年近く学んで初めて受験が可能です。
他にも外国の医学部を卒業し、所定の手続きを経て受験する医学生も徐々に増えてきました。

合格発表は1ヶ月後の3月18日です。
試験を受けて、1ヶ月間不安な気持ちで過ごしながらも、4月からスタートする初期研修医としての生活の準備だったり、卒業旅行など受験生活から解き放たれ過ごすのが一般的です。

第113回医師国家試験は出願者数が10,474人、受験者数は10,146人でした。
このうち、どのくらいが合格すると思いますか?
「国家資格だし、医師になるんだから難しいはずなので、20%くらいかな?」
「確か、同じように難関国家資格である司法試験の合格率もかなり低いぞ」
と思ったあなた。今回の医師国家試験の合格率は新卒者と既卒者合わせて、89.0%でした。
 
つまり、10人に1人程度しか不合格にならないんです。
この合格率は、年度によって変わりますが、ここ10年は90%以上で推移しており、最も低かった年でも88.7%でした。

「試験の難しさ」はどうやって測ることができるか

これを聞いてどのように感じられますか?
時々、司法試験と比較して、こんなに合格率が高い試験ということは、医師国家試験はあまりに簡単なのでは?と批判を耳にすることがあります。
私は司法試験を受験したことはないので、どちらの試験が難しいという単純な比較はできません。
個人的には司法試験を受験する、とても優秀な友人たちの話を聞く限り、「司法試験って大変だなあ〜」と素直に思います。
 
一方、医師国家試験が簡単かというと、どうでしょうね・・・。
前提として医学部入試を合格するくらいの人が、基準をクリアするため一定期間準備して受験するということを前提とすると、なかなか大変な試験と思います。
また、医師免許を取得する段階で必要となる知識の基準に達していない受験生を不合格にする試験ですので、合格率を低くする必要もないと思います。
なので、試験自体の目的も異なるので、合格率だけで難易度が語れないのではないかというのが私の意見です。

医師国家試験の問題の特徴

ちなみに、合格基準は年によって変わります。
割と基本的な問題の多い必修問題は8割以上、それ以外の問題が約7割以上の正答率が求められます。
加えて、禁忌肢(きんきし) 問題と呼ばれる、決して選んではいけない選択肢が3問以下という基準もあります。
これは、間違って行うと患者に大きな影響を与えてしまうような誤った内容を含む選択肢で、これが試験の選択肢に散りばめられています。これらを4個以上選んだ時点で、他が満点でも不合格が決定します。

試験はA〜Fの6科目から構成され、1科目は短くて95分、長いと165分です。
説明の時間も入れると、8時55分から開始し、18時30分まであります。
なかなか、これだけの長丁場の試験はないですよね。
ちなみに、私が受験した第101回医師国家試験は3日間で、試験も9科目ありました。いや〜、今考えても3日間にわたる試験って、やっぱり大変でしたね。

自身の経験 ①大学の仕組み

多くの大学では医学部6年生の途中から、卒業試験があります。
私の大学は各科目で選択式の問題が出題される形式でした。
ここで、「国家試験だけでなく、同じような卒業試験もあるんだ。大変だね。」と思ったそこのあなた、甘いです。
卒業試験が1度あるのではなく、毎週あります。
どういうことかというと、あまりにも試験科目が多いので、毎週月曜日は卒業試験なのです。
今週は循環器の卒業試験、来週は産婦人科の卒業試験、、、、という具合に、エンドレスではないかというくらい試験が続くのです。
はっきりと覚えていませんが、20科目以上あったので、その分の試験が毎週あるのですね。
その試験は当然、一定の基準を越えなければ、不合格となります。
そして、成績が思わしくないと、最終的には卒業要件を満たすことができないという扱いとなり、留年が確定します。
つまり、このマラソンのような卒業試験を乗り越えなければ、医師国家試験の受験自体ができません。

以上が私の大学の仕組みでした。
卒業試験が秋頃に全部終了し、やっと医師国家試験に向けての勉強に専念できます。
とはいえ、多くの学生は卒業試験の勉強と並行して、国家試験の勉強にも取り組んでますので、復習と問題演習というイメージですね。

私は活用しませんでしたが、医師国家試験向けの予備校があり、模擬試験や試験対策講義が準備されています。
こういったものを活用する同級生もいましたね。当然、有料です。

自身の経験② 試験当日

前回も説明したように3日間にわたる試験です。
しかも朝9時前からスタートします。
当然のことながら、遅刻厳禁です。
私は基本は前泊するのは嫌いなのですが、さすがに試験会場近くのホテルに前泊しました。
私の会場は東京で、新宿近くの大学でした。
 
まあ、試験を受ける学生といっても、当時すでに24歳くらいでしたので、落ち着いたもんです。
受験までの一番の懸念は、前日の夜に一人でホテルで飲んでしまわないか、飲みすぎて遅刻しないでした。
一人だと色々考えたり、変に勉強していると帰って理解できていないことに不安を感じたりして、眠れないのが心配でした。
だから、勉強は軽くに止めるつもりだったのですが、そうすると手持ち無沙汰なんですね。普段見ないテレビをつけても面白くないし。
 
結局、ビールを買ってきて、普段くらいは飲んで、目覚ましを2重にかけて寝ました。
懐かしいなあ。

日中はひたすら試験です。
確か早めに終わった人は、途中退室が可能なのですが、私は試験では基本的に途中退室はしないので、時間丸々頑張りました。
 
夜の過ごし方は人それぞれですね。
多くの人はホテルでおとなしくというのが一般的かなと思います。
私はホテルに帰る途中で、友人と軽く夕食をとり、ホテルでダラダラって感じでした。
あまり自己採点をするのは勧められていないんですが、ネットの掲示板で「あの問題の正解はAだろう」とか、「解答速報」的なものを眺めながら、過ごしてましたね。

自身の経験③ 試験最終日終了後

3日間に渡る試験が終了すると、軽くお祭り的な雰囲気になります。
私の大学では、同級生みんなでクルーズパーティを企画しました。
1学年みんなで東京湾クルーズを予約し、そこで乾杯しながら労をねぎらうという感じです。
そのあとは仲良しグループやら、部活の同期やらと朝まで飲む人や実家に戻って報告する人など色々ですね。

まとめ

書いていて、私も色々なことを思い出すことができました。
あまり皆様の生活と直接関係する話ではないですが、お医者さんになる上で最も大きなイベントの一つである、医師国家試験について書いてきました。
 
医学部の入試や、医師の働き方について様々な議論がなされています。
そういった議論の背景知識として、気楽に読んでいただけたらと思います。

この記事のライターをご紹介

柏木 秀行 (カシワギ ヒデユキ)

医師・社会福祉士・経営学修士

1981年広島県呉市に生まれる。筑波大学医学専門学群を卒業後、福岡の飯塚病院に初期研修医として就職。救急、感染症、集中治療などを中心に研修を行った。地域医療を支える小規模病院に出向した際、医療経営と地域のヘルスケアシステムづくりをできる人材になりたいと感じ、グロービス経営大学院で経営学修士を取得。また、社会保障制度のあるべき姿の観点を、研修医教育に取り入れたいと感じ社会福祉士を取得し育成に取り組む。現在は飯塚病院緩和ケア科部長として部門の運営と教育を行いながら、診療所の経営コンサルトをオフタイムに兼任。緩和医療専門医、総合内科専門医、プライマリ・ケア認定医・指導医。

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