住み替えの第一歩は、住み替え時期の見極めから

「いつ」を考える

高齢者住宅選びの第一歩は、「いつ住み替えるか」を考えることからスタートします。
「いつ」というのは年齢や具体的な年月ではなく、「自分がこんな状態になったら」という時期。
住み替えるときの本人状況が、どんなタイプの住宅を選ぶかの基準となるからです。

住み替え時期は大きく分けて次の5段階が考えられます。
住み替える住宅・施設は、それぞれの時期に必要とされる機能を満たしていることが条件となるでしょう。

<本人状況>                                                                       <住まいに必要な機能>
①  体力・気力ともに十分な、アクティブシニア         ⇒ バリアフリー住宅
②  元気だけれど、生活の不安が出てきた            ⇒ 緊急コール・職員常駐
③  足腰が弱って体力も低下し、家事負担が大きくなった     ⇒ 見守り・生活支援
④  入浴など、身体介助が必要になった             ⇒ 介護サービス・医療支援
⑤  歩行が困難で、夜間も介護が必要になった          ⇒ 24時間の介護体制

自宅生活の限界期を知る

自分はどの時期に住み替えるべきかは、自宅環境や家族事情によって個々に異なってきます。
住み替えが必要な時期を判断するには、まず自身を取り巻く生活環境を客観的に見つめ直す作業から始めましょう。

①  自宅の形は高齢者にとって安全で、要介護になっても生活しやすいか
②  自宅周辺は外出や買物が便利で、高齢になっても暮らしやすい環境か
③  必要な医療や介護サービスが選べるよう、近くに複数の病院や介護事業所があるか
の3点をチェックします。
 
さらに家族の状況を確認しましょう。

①  子供がいるか
②  同居や近くに住んで頻繁に関わってもらえるか
③  介護を担ってもらえるか

家族の事情も踏まえて、今の住まいでどんな状態まで暮らせそうかを想定してみましょう。

自宅や家族の状況で、住み替え時期に大きな差が

自宅の形や周囲の環境が整っていれば、かなり長く自宅で暮らし続けることが可能になります。

例えば同じ一人暮らしの高齢者でも、「駅から遠く坂道のある郊外の古い一戸建て」に住み、「家族(子)がいない、或いはいても遠方で暮らしていて日常的に関わってもらえない」ケースの場合は、足腰が弱ってくると外出しにくくなり、日々の買い物や通院などにも支障をきたしてきます。
さらに外へ出る機会が減って引きこもりがちになり、危険な段差や階段が家庭内事故を引き起こす可能性が高まりますから、弱る前に住み替えたほうが良いでしょう。

一方、「駅に近い都心部のバリアフリーマンション」に暮らし、「家族が同居もしくはすぐ近くに住みいつでも駆けつけてくれる」状況の人なら、フラットで安全に暮らせるうえ、周囲には徒歩圏内に最寄駅をはじめ、生活に必要なお店や各種窓口も整備され、さらにクリニックや病院、介護の事業所なども複数揃っていて自分に合うところを選べるでしょうから、要介護になっても伝い歩きができる状態くらいまでは住み続けることができるでしょう。

限界期を迎える前に

ここで肝心なのが、住み替えが必要な時期は自宅生活の限界ぎりぎりではなく、そうなる前と判断すること。

切羽詰ってから動き出したのでは、自分で納得できる住み替え先を見つけることもままなりません。

できるだけ余裕のあるうちに情報収集・整理を心がけ、必要に迫られる前に住み替えることが、高齢者自身にとっても家族にとっても望ましい結果に繋がるのです。

この記事のライターをご紹介

岡本弘子 (オカモトヒロコ)

シニアの暮らし研究所 代表 高齢者住宅アドバイザー

住宅メーカーで生活研究に従事した後、2004年から高齢者住宅の紹介センターで1万件以上の入居相談に対応。新聞・情報誌等の取材や執筆をはじめ、年200回以上の高齢者住宅セミナーで講演。常に利用者・入居者視点に立ち、高齢者住宅およびシニア向け商品・サービス企画開発への助言や営業支援に努めている。2012年に開設した「岡本弘子の居相談室」では、徹底した対面相談で100%入居者本位の住まい選びをサポートする。2015年1月に一般社団法人日本シニア住宅相談員協会を設立し、代表理事を務めながら、資格認定研修講師としてシニア住宅相談員の育成にも注力している。消費生活アドバイザー、福祉住環境コーディネーター等

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