特別養護老人ホーム(いわゆる「特養」)の種類

ユニット型と従来型

「特別養護老人ホーム」(以下では、「特養」と記載します)のイメージとして、「多くの要介護のご利用者さまを多くのスタッフが集団でケアしている所」というような感じを抱かれていると思われます。
確かに従来の施設は「集団ケア」を主流とし、居室も4人の相部屋が主流でした。
こういうこれまでの特養を「従来型」というのに対し、厚労省が新たなスタイルとして、「個室」「個別ケア」を中心に打ち出したものが「ユニット型」です。「ユニット型特養」の介護方式を「ユニットケア」と呼びます。詳しい内容は次の章「ユニット型と従来型の違い」で述べます。

従来の「集団ケア」に、「ユニットケア」が加わったことにより、いまや施設の介護スタイルはどんどん変化しています。
今回は、ユニットケアについて、定義や従来型との違い、ユニットケアの目指すもの、メリット・デメリット、生まれた背景をご紹介します。

肉親を特養に入居させる際には、どちらのタイプかを見て、選択していただけたらと思います。

ユニット型と従来型の違い

ユニットケアとは、入居者ひとりひとりの状態に応じた個別ケアを提供する試みです。

入居者を10人程度の小グループ(ユニット)ごとに分け、ユニット毎に固定のスタッフを配置し、自宅で暮らしているような居住環境を整えます。
そして、そのユニットの中で、他の入居者とのおしゃべり、趣味活動などの交流、訪れた家族との関わりを大切にします。

従来型とは、相部屋(4人部屋が主)の施設です。
施設では、多くの入居者の介護をする必要があるため、効率的に介護ができる「集団ケア」が行われています。
集団ケアでは、それまでの生活リズムではなく、ご利用者さまが、施設のサービス提供時間に合わせて生活をしています。

ユニットケアの特徴は、入居者個人のプライバシーが守られる「個室」が主です。
さらに、他の入居者やスタッフと交流するための「居間」(共同生活室)もあります。
各ユニットに固定的に配置された顔なじみのスタッフが、ご利用者様の生活リズムを尊重し、生活をサポートする「個別ケア」を行います。
昼間の過ごし方も、みんなでレクリエーションを楽しむ方、個室で読書をしたい方、そのような、ひとりひとりのニーズにスタッフが応えます。

ユニットケアが目指すものは、「介護が必要な状態になっても、ごく普通の生活を営むこと」。つまり、「暮らしの継続」を大切にしています。
そのために、「1日」にケアの視点を置き、ご利用者さま1人1人が1日をどう過ごしたいのか、その人の24時間の過ごし方の考えの詳細を知る必要があります。
その人ができる部分と、サポートが必要な部分を、自立支援の観点から見極めてケアを提供していきます。

ユニットケアは、「高齢者の尊厳を保つこと」を目的とし、従来の画一的な方法ではないケアを提供していくことを目指しています。

厚生労働省資料より抜粋

ユニットケアのメリット、デメリット

ユニットケアのメリット、デメリットを以下にまとめてみました。

【メリット】
・個室が主であること ⇒ プライバシーが確保され、自分らしい生活が尊重される。感染症が拡がりにくい。
・ユニット内に共用空間がある ⇒ 馴染みの、他入居者やスタッフとのふれあいが楽しめる
・個別ケア ⇒ ひとりひとりの状況にあわせたケアを行ってもらえる
・専任スタッフが配置される ⇒ スタッフと顔なじみとなり、より家庭に近い環境になる

【デメリット】
・利用金が高い ⇒ 設備が充実しているため、居住費や光熱費が割高

特養であっても、「個室」「専任スタッフ」「共用空間」は嬉しいものです。
従来型よりも多くのメリットがあります。

デメリットとしては、スタッフや他ユニットのメンバーと気が合わなければ気まずい、ということがありますが、ユニットを変えてもらったら解決できる問題です。

唯一のデメリットは、「料金が割高」ということです。

特養運営も事業ですので、設備が良くて、スタッフが多ければ、当然、料金が高くなります。
こちらが、”ユニット型特養” に入所を希望される方には大きなデメリットとなっていることも事実です。

厚生労働省資料から抜粋

経済面もあわせ、自身や家族のライフスタイルにあった施設を選択してください

現在の特養のうち、約3割がユニットケアを導入しています。
新たに建設される施設では、ユニットケアを採用するところが増えてきているため、ユニットケアの施設数はますます増加していくことが予想されます。

入居されるときは、施設の介護スタイルに関して向き不向きはあります。
また、経済的なことはとっても重要です。

色々な意味で、自身やご家族が、よりいきいきと生きていける介護スタイルの施設を選択してください。

この記事のライターをご紹介

荒牧誠也 (アラマキセイヤ)

コラムサイト穂の花編集長

株式会社アットウィル 代表取締役
1964年 大阪府大阪市生まれ
1988年 関西電力㈱入社。介護事業子会社 ㈱かんでんジョイライフや医療関係子会社 ㈱かんでん在宅医療サービスの設立や運営に従事。関西電力グループのメデイカル・ヘルスケア事業の企画業務や㈱京阪ライフサポートのM&Aに従事後退職。
2017年 関西電力㈱を退社。㈱ベイシスのソーシャルビジネス事業部長に就任。同時に㈱かんでんジヨイライフ時代の仲間と㈱アットウィルを設立し代表取締役に就任。

関連バナー ライター関連サイト

オススメ記事

  • フリーランスで働く方々の老後の備え

    年始早々、姉に年金の相談を受けました。こつこつ、こつこつ払い続けてきた社会保険料。これを払ってお...

  • インフルエンザシーズン到来②インフルエンザワクチンについて

    「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します、レギュラーコラムニストの柏木です。前回に引き続き、イ...

  • 介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱い 通所介護編

    2018年9月28日に厚労省は、高齢者のニーズに対応するサービスである「保険外サービス」の充実を...

  • 介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱い 訪問介護編

    2018年9月28日に厚労省は、高齢者のニーズに対応するサービスである「保険外サービス」の充実を...

  • 皆様の資産は大丈夫!!?不動産市況の最新状況

    50代を超える世代の方々は、定年後の生活が目の前。65歳からもらえる年金で何とか老後の生活を乗り切り...

人気の専門家

  • 税理士:市川 欽一

    税理士:市川 欽一
    「人に尽くす 人でありたい!」

  • 昭和の思い出つむぎ隊

    昭和の思い出つむぎ隊
    高齢者とその支援者に対し、安全で安心できる生活に必要な情報および支援を提供。

  • 勝 猛一

    勝 猛一
    任意後見は、頭の保険です。

  • 柏木 秀行

    柏木 秀行
    「医師×福祉×経営」で感じたことを発信します

  • 龍村昭子

    龍村昭子
    依頼者の目線に立って物事を考え,丁寧な処理を心掛けています。

  • 上坂薫

    上坂薫
    整理収納サービスのプロが集まって活動している団体です。

  • 田中健(田中神社正禰宜)

    田中健(田中神社正禰宜)
    神に仕えるプロデューサー

  • 中野 靖之

    中野 靖之
    京都在住の金融教育家・1on1FE(ファイナンシャルエデュケーター)の「やすべえ」です。

  • 荒牧誠也

    荒牧誠也
    「穂の花」でシニア・ミドルの生活をもっと豊かに!!!

  • 保険の見直しのコツ教えます。保険市場へリンク
  • 株式会社ベイシス インスタグラム広告
  • 公益社団法人 認知症の人と家族の会
  • 独立行政法人福祉医療機構 介護制度の情報
  • シニアのためのライフスタイル相談室穂の花
ページトップへ